自営業者がお金を借りる

金融機関からお金を借りたいと思ったら

結局融資はしてもらえず、決算までたどり着かずに倒産というのはよくある話です。
こんな話を聞いても、最近は誰も驚きもしません。
「銀行なんてそんなもの」と達観してしまっている経営者が多くなってきました。
「銀行も不良債権の問題でたたかれて、ウチらのような中小零細企業に回す金はないのだろう」とあきらめて、資金繰りが何とかなる会社はよいのですが、普通は死活問題です。

 

商売の基本は「信用」です。
信用は長年の「実績」によって醸成されます。
ところが最近の銀行との取引では、これまで仕入の支払を遅らせてでも借り入れの返済を優先して築き上げた「実績」が、あまり役に立たなくなっているのです。
それは銀行が融資をしたくないからではなく、融資をするときの「基準」や「考え方」が変わってきたからです。
いったいどこが変わってしまったのでしょうか?

 

「格付け」のランクで融資の結果が決まる

 

融資の「基準」や「考え方」が大きく変わった最大の要因が「格付け」の導入です。
現在では、融資が受けられるかどうかは、ほぼこの格付けの結果で決まってしまいます。
格付けというと「トヨタの格付けがAAA (トリプルエー)になった」という、いわゆる格付け会社が行なっているものを連想しますが、銀行が行っているのは少し違っています。

 

格付けは次の2つのポイントから決定されます。
(1)決算書
(2)決算書に出ていない情報

 

決算書は2期分ないし3期分のデータを求められます。
このデータを使っていろいろな財務指標を計算して点数をつけます。

 

決算書に出ていない情報というのは、例えば決算書に記載されている土地の時価などの情報のことです。
たとえば決算書上は1億円で計上されている土地の時価が3000万円しかない場合は、差額の7000万円分を減点して評価することになります。
さらに業界の動向、経営者の資質、返済が滞っていないかといった情報も、決算書に出てこない情報といえます。

 

ただ最近では、「決算書に出ていない情報」の比重が軽くなってきている傾向があります。
銀行もリストラで人手不足となっていて、中小零細企業の融資に手間ひまをかける余裕がないのが実情です。
そのため、なるべく決算書の数字だけで判断できるシステムになりつつあります

 

借りる方にも戦略が必要

 

融資が受けられるかどうかは格付けで大まかな判断がなされますが、それが全てではありません。
格付けを重視する方針は変わりませんが、一方で「金融検査マニュアル」は中小企業の実態からかけ離れているという批判が上がり、平成14年には「金融検査マニュアル(別冊)」ができ、もうすこし実態に則して評価しましょうという流れにもなってきています。

 

ただし、従来のように、これまでの銀行との取引実績のみをアピールしても融資を受けられない状況は変わりません。
融資を受けようと思うのであれば、それなりに銀行の動向を探り、それに対する作戦が必要とされるのです。
ましてや取引実績のない、設立して間もない企業であれば、十分に作戦を練った対応が必要です。
たとえば、格付けがあまりよくなくても、資料の作り方ひとつ、見せ方ひとつで結果が180度違うこともありえるのです。

 

 

融資の新たな流れ「ビジネスローン」のからくり

銀行に新たな融資方法が広まっています。
いわゆる「ビジネスローン」です。
これは今までの銀行の考え方とは全く違う基準で融資を判断しようというものです。

 

液晶ディスプレイの生産ラインがあるとします。
100個に2個くらいの割合で発色の悪い不良品が出ます。
今まではこの不良品を除くのに、大変な時間とコストをかけて検査していたのですが、ある時この検査をやめて出荷することにしました。
そして不良品が入っていることを前提に98個分の価格で売ったところ、検査をするよりも儲かるようになったとのことです。

 

同様のことが融資の世界でもおこりつつあります。
極論すれば、融資をオートマチックの工場にしようということです。
ある程度同じような大きさの企業を業種や地域を分散させて、さらに一定基準を満たした100社集めます。
そして上限の金額を3000万円と決めて100社全部に融資します。
1社、2社つぶれてもOK、それをカバーできるだけの金利を100社から取っているし、コストを掛けないで運営するので、結構儲かるであろうというやり方です。
まさに確率統計の世界です。

 

銀行が消費者金融になる?

大手の消費者金融はかなり前から、個人融資でこれに似た手法を取り入れて成功しました。
このシステムが融資のすべてではありませんが、このように人の判断や感情、事業計画や資金繰り表などが全く反映されない方法での融資も始まっているということです。
ですから融資の形態や取引する金融機関によって、会社の見せ方を変えていかなければいけないのです。

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